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産後のそけい部の痛み(股関節付近の痛み)

2011.09.28

市ヶ谷・飯田橋のカイロプラクティック・整体 ナナ・カイロ・クリニック

30代女性の症例です。

<お悩み>・・・
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10ヶ月前に出産(通常分娩)。それ以降、しばらく歩くと右そけい部(訴えは股関節)に鈍痛を感じるようになった。主に右だが、左も時々痛む。

出産後、全体的にだるい感じがあったのと、下半身のむくみが生じやすくなったため、近所のスポーツマッサージを受けてみたところ、足の長さが違いますよと言われたのが気になり、そけい部の痛みと関連があるのではないかと考え来院。

また、出産後、骨盤が広がった感じがあり、出産前のジーパンがきつくなったため、少しでもサイズダウンできれば…との事。

<所見・コメント>
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まず、視診や触診、機能検査において、お尻の筋肉(大殿筋や中殿筋)が弱化しているのは一目瞭然でした。それは、臀部が平坦になっている事もそうですが、筋収縮の持続力低下や、筋肉の動く順番を確認しても、ほとんど作動していない。そのような検査です。

ご本人様は、スポーツ経験が豊富なため筋力には自身があったそうですが、ご出産や乳幼児中の育児は、様々な要因が重なり、筋力が弱化、もしくは抑制されてしまうものです。

今回の方は、上記のようなお尻の筋肉と共に、骨盤帯を支えるコア(腹横筋や骨盤底筋群)の弱化も著しかったため、骨盤が横に広がってしまうのは無理がありません。また、筋の弱化や緊張は、周辺のうっ滞を招きやすいため、下半身のむくみの原因にもなります。
骨盤左回旋
次に、歪みという視点から検査すると、かなり大きな骨盤左回旋変位を作っていましました(図参照)。

この骨盤の位置異常が、そけい部を通過する腸腰筋や腸骨筋(図参照)に緊張をもたらしていると考えられます。これらは、腰椎~大腿骨、腸骨~大腿骨という二つの筋肉から成り立ち、歩行時に足を前に運ぶ主動筋です。

骨盤や腰椎に歪みがあると、腸腰筋や内転筋に無駄なテンションがかかる事になりますし、その逆もまた然りです。そして、腸腰筋に不具合がある場合、多くの方は股関節の痛みとして症状を訴える方がほとんどですね。

このような歪みを形成してしまった原因としては、一つは上記のような殿筋群やコアの筋肉が弱化し、骨盤帯が不安定でズレやすくなっていることが考えられますが、最も大きな原因は、やはり下記の2つのような偏った動作の問題です。

・左横座りをしている事が多い(出産前も出産後も)
・赤ちゃんを左手で抱え、左足荷重で立っている事が多い


ある意味でどちらも仕方のないことですが、2つとも骨盤を左に回してしまう動作のため、症状と関連があるのではないでしょうか。

このような構造的な歪みと、なかなか目には見えづらい機能の問題、そしてそれを引き起こしている動作の問題を、多忙な育児中という事を踏まえ、治療、ご指導を行っていくことになります。

<施術・経過>
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施術で可能な事は、骨盤の位置を修正し、正常な筋肉の活動を取り戻すことです。骨盤の位置異常や動きに問題がある場合、本例のように骨盤に関連する筋群に余計なストレスがかかってしまうからです。

セルフストレッチでもある程度は矯正が可能ですが、関節面で歪みが生じていたり、今回のように下半身のうっ滞が強い場合は、施術を受けることが望ましいです。

特に、矯正を目的とするストレッチの場合は、的を得ていないとまったく意味がないか、歪みを強くしてしまう可能性もあります。

現在の歪みと動作を分析した上で、過緊張や短縮を起こしてしている筋肉に的確なストレッチを加えていくことが有効ですが、決してそれは左右対称ではありません。


特に、子育てで忙しい時期は、歪みを気にしながら生活できるわけがありませんし、カイロのオフィスに何度も足を運べるわけはありません。正しい矯正ストレッチ、そして自宅でできるようなコアトレーニングの習得が必要です。
図A図B
骨盤の回旋変位自体は、関連する脊柱や筋肉の調整により改善が可能ですが、上記のような理由で、それを持続させ再発を防止するため、図に記した部位のストレッチを行って頂くことにしました。

加えて、弱っている筋肉の再教育を行うため、自宅でできるような簡単なコアトレーニングを指導。負荷の軽いものから段階的に行って頂く事にしました。

ご本人様が多忙な事もあり、2度目は2週間後の来院になったのですが、少しひっかる感じが残るが、8割方良いとのことでした。
3度目、一ヶ月後の来院時には、お教えしたストレッチを真面目に行って頂いたのも功を奏し、まったく気にならなくなったとの事です。

また、エクササイズのほうも少しずつ行っているということで、ジーパンが履きやすくなったと喜ばれていましたね。まずは2週間行ってみると効果が実感できるものです^^

今回のように、産前はなんともなかった癖も、産後骨格が不安定な状態のまま継続していると、このように強い歪みを形成してしまうことがありますよね。しかし、自分自身の癖や歪みの傾向を知っていれば対処の仕方はあるものです。

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